FT3/FT4/TSH(甲状腺ホルモン)(血液)
T3・T4とは、血液中の甲状腺ホルモンのことで、糖の代謝やたんぱく質合成など、人間のエネルギー代謝をおこなうために分泌される物質です。
TSHは脳から分泌される甲状腺刺激ホルモンのことで、T3・T4の調節機能をもちます。これらを調べてホルモンの分泌異常がないかを調べます。
基準値
基準値 | FT3:1.68~3.67pg/mL |
---|---|
FT4:0.7~1.48 ng/dL | |
TSH:0.35~4.94 μIU/mL |
この検査で疑われる病気
- 【FT3・FT4が基準値以上、かつTSHが基準値以下】
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺炎など - 【FT3・FT4が基準値以下、かつTSHが基準値以上、またはTSHが基準値以上のみ】
甲状腺機能低下症(橋本病、粘液水腫など)、甲状腺炎など
甲状腺で作られる甲状腺ホルモンの量を調べる検査です。甲状腺ホルモンはエネルギー代謝の調節や細胞の新陳代謝を活発にする働きがあります。不足したり過剰になることで、さまざまな障害が起こります。
甲状腺ホルモンにはT3とT4の2種類があり、甲状腺から分泌されるホルモンのほとんどはT4です。T3も一部は甲状腺から分泌されますが、多くは肝臓などの臓器でT4を材料に作られます。
最終的にホルモンとして働いているのはT3です。したがって、甲状腺のホルモン合成能力を調べるにはT4、甲状腺ホルモンの全身への作用の程度を調べるにはT3を測定します。
通常、タンパク質に結合していない、フリーのT3であるFT3とフリーのT4であるFT4を測定します。
TSHは脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンの分泌を増やす作用があります。
脳下垂体は血液中の甲状腺ホルモンの量を監視していて、甲状腺ホルモンが足らないとTSHの分泌を増やして甲状腺を刺激します。
甲状腺ホルモンが多すぎるとTSHの分泌を減らして甲状腺への刺激をストップします。したがって、TSHを測定することで甲状腺ホルモンの過不足を知ることができます。
はっきりとした甲状腺機能異常の場合はFT3、FT4の測定により甲状腺ホルモンの過不足が分かりますが、ごく軽度の甲状腺機能異常の場合は、FT3、FT4の値が異常になる前にTSHが最初に正常範囲を外れます。
したがって、甲状腺機能異常を軽度の段階で見つけるにはTSHの測定が必要です。
数値からは、甲状腺ホルモンの過剰分泌によってFT3・FT4の数値が高く、TSHの数値が低ければ甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、逆に甲状腺ホルモンの分泌が少なければ甲状腺機能低下症(橋本病、粘液水腫など)といった症状が考えられます。
この検査では、甲状腺の腫瘍の有無はわかりません。
甲状腺ホルモンの検査が異常値のときの対処法
TSH・FT3・FT4の検査の結果で甲状腺機能亢進症あるいは甲状腺機能低下症が疑われる場合は、その原因も調べて治療の必要性を判断します。
血液検査だけでなく、超音波などの画像診断が必要になる場合もあります。
亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎は一時的なものですが、その他の多くの甲状腺炎は慢性的で治療が必要になります。
甲状腺そのものの病気だけでなく、精神的ストレスがTSHの分泌に影響を与えることもあります。
たとえば、うつ状態ではTSHが低値となりFT3が低値から基準値内のこともあります。
甲状腺の機能異常は内分泌の病気の中でも最も多くみられるものです。
検査結果で異常値が見られるときは、内分泌内科の受診をお勧めします。
甲状腺の病気について
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