γ-GT(γ-GTP)(血液)
基準値
基準値 | 50U/L以下 |
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この検査で疑われる病気
- 高値:アルコール性肝障害、閉塞性黄疸、胆石症、肝炎、急性膵炎 等
肝臓の解毒作用に関係する酵素で、とくに過度の飲酒によるアルコール性肝障害で値が上昇します。性差があり、女性は男性より低値を示す傾向があります。
γ-GTPはタンパク質を分解し、肝臓の解毒作用に関与する酵素の一つで、肝臓の機能を評価できるだけでなく、胆管や胆のうなどの病気の有無も推測できる検査項目です。
γ-GTPはアルコールに敏感に反応し、肝障害を起こしていなくても、普段からよくお酒を飲む人では数値が上昇します。
ただし健康な人は、一時的にγ-GTPの数値が上昇しても、すぐにもとに戻るので、一定期間禁酒した後にγ-GTPの再検査をすれば、アルコールによる上昇か、肝臓や膵臓などの障害による上昇かの区別がつきます。
また最近では、アルコールに関係なく生じた非アルコール性脂肪性肝炎(アルコールに関係なく肝臓に中性脂肪がたまり、それが原因で起こった肝炎)でも、γ-GTP値が上昇することがわかってきました。
γ-GTPと飲酒の関係
γ-GTPはお酒を飲むことで値が上昇することで有名ですが、実際にアルコールに対する反応が鋭敏であるという特徴があります。
そのため、当然ですが、お酒をよく飲む人ではγ-GTPの値が高くなります。さらに、飲むお酒の量が増えれば増えるほど、ますますγ-GTPの値は高くなります。一方、断酒することによって約2週間で半分くらいに減少します。
このようにγ-GTPの値は飲んでいるお酒の量とよく相関します。
そのため、この数値を定期的に測定すると、しっかりと禁酒を守れているのか、あるいは飲酒を再開してしまったのかなどの飲酒状況を推し量ることができます。
「1日に日本酒3合またはビール2Lを5年間」よりも多くの飲酒をしている方の場合、アルコールが原因の肝機能障害の可能性が高いです。
しかし、それ以外が原因の肝機能障害の可能性も否定はできません。そこで、これらを区別するために最もいい方法が、禁酒をして肝機能障害が改善するかどうかをみることです。
アルコールが原因の肝機能障害であれば、アルコールを断つことで肝機能障害が改善します。しかし、アルコール以外が原因の肝機能障害であれば、禁酒しても肝機能障害が改善しません。
禁酒で改善するかどうかを確認することは、アルコール性肝障害の診断上、重要です。
γ-GTPが飲酒以外で上がるケース
γ-GTPはアルコールの他には、向精神薬、抗てんかん薬、睡眠薬などの一部の薬剤や胆汁うっ滞、薬物性肝障害、脂肪肝などが原因でも上昇します。
γ-GTPがアルコールやある種の薬によって誘導されて血液中に増えるという現象は、肝機能障害と関係なく、単独で起こることもあります。
この場合には、肝細胞が壊されているわけではないため、ASTやALTの値は上昇しません。
また、γ-GTPは肝臓の他に、腎臓や膵臓などにも含まれています。そのため、これらの臓器に問題が起こったときにも血液中に漏れ出し、血液検査で数値が高くなります。
アルコール性肝障害でみられる血液検査の特長
アルコール性肝障害の血液検査結果にはいくつかの特徴があります。これらの特徴に当てはまるかどうかも診断の助けになります。
その特徴とは、具体的には、
の4つです。
血液検査の結果がこれらの特徴を持っている場合、アルコール性肝障害の可能性をより強く考えなければなりません。
γ-GTPが異常値の時の対処法
γ-GTPで異常値が出た場合は、上記にもあるようにAST,ALTも合わせて判断する必要があります。
また、異常値の原因がアルコールであるかどうかや、飲んでいる薬も合わせて考える必要があります。
まずは、内科を受診して原因を特定することが重要です。
健康診断における肝機能の数値の異常と肝機能障害について詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
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