全身MRI(DWIBS)検査
どういう検査か?
DWIBS(ドゥイブス)とは
DWIBS(Diffusion-weighted Whole body Imaging with Background body signal)とは、MRI技術の一種で、拡散強調画像に背景信号の抑制を加えた撮像法です。
DWIBSは、細胞内の水分子の動き(拡散)の異常を強調するため、がん細胞や炎症などの病変を検出するのに優れた能力を発揮します。
通常のMRI検査では、細部の観察を目的とするため、比較的狭い範囲に絞って撮像する必要がありますが、DWIBSでは細部の観察は行わない代わりに、頚部から骨盤までのほぼ全身を一度に撮像できます。
この検査法は、特に前立腺がんの骨転移病変の検出において有用性が報告されています 。

メリット
- 薬剤投与(静脈注射がない)
- 放射線を使用しないため、放射線被ばくの心配がいらない
- 検査時間が比較的短く30分〜1時間程度
- 頚部~骨盤のMRI検査を一度に行える
- 検査後に処置がない
- 糖尿病や腎機能が悪い方でも検査可能(PET-CTだと検査できない場合があります)
デメリット
- あくまでも全身の病変の検出を目的とした広範囲検査(スクリーニング検査)であり、病変の局所的な精査を目的としたものではないため、局所的な評価には別途検査を行う必要があります。
- 小さな病変や特定の種類のがんでは検出が難しい場合があり、すべてのがんを発見できるわけではなく偽陰性となる可能性がある(DWIBSさえ受けていれば安心とは言い切れません)
- 頭部検査は含まれない(別途頭部MRI・MRA検査のお申込みが必要となります)
- 体格によって機械に入らない場合は検査が行えない。MRIの注意事項に準じた制限がある(ペースメーカーなどの体内金属があると検査不可)
- 胸部など描出が苦手な部位がある(表1参照)
DWIBS検出能(表1)
順位 | がん死亡順位 |
DWIBS検出能 | 当院で追加可能な検査 |
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1 | 肺 | △ | 胸部CT(DWIBS検査に含む) |
2 | 大腸 | △ | 便潜血検査・大腸CT |
3 | 膵臓 | △ | MRCP検査 |
4 | 胃 | △ | 胃内視鏡検査 |
5 | 肝臓 | 〇 | |
6 | 胆嚢・胆管 | 〇 | |
7 | 乳房 | △ | マンモグラフィー・超音波検査 |
8 | 悪性リンパ腫 | 〇 | |
9 | 前立腺 | △ | PSA検査(採血) |
10 | 子宮・卵巣 | △ | 子宮頸がん検査(細胞診、HPV検査) |
〇:可能 △:不向き |
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順位参考:令和6年 人口動態統計 |
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DWIBSの検査時間
40分程度
DWIBSの検査ができない方
- 体格によって機械に入らない場合
- 心臓ペースメーカーを取り付けている方。また頭部動脈瘤のクリッピング、血管内ステントなどの金属物質が体内に留置されている方は検査を受けられないことがあります。体内に金属物質を入れている方は事前にご相談ください。
- 妊娠中の方あるいは妊娠の可能性のある方
- 閉所恐怖症の方は事前にご相談ください。
その他注意事項
- 検査前8時間以内の食事はお控えください。
参考文献
- 一般社団法人 日本磁気共鳴医学会 ガイドライン「全身MRI撮像指針について」
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