脂肪酸4分画の検査結果について。

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脂肪酸4分画

脂肪酸4分画とは

脂肪酸4分画というのは、ヒトが体内で合成する事が出来ない脂質、すなわち食事から摂取する事が生命を維持する上で必要な脂質である必須脂肪酸のうちの4種類、ジホモ-γ-リノレン酸(DHLA)、アラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の血中濃度を、採血により定量する事で測定します。
脂肪酸4分画を測定した際に重要なのが、EPA/AA比です。

基準値

基準値

EPA/AA比 0.6以上

牛肉や豚肉に含まれる油は、ω6(オメガシックス)系と呼ばれる油であり、アラキドン酸(AA)を多く含みます。
それに対してアザラシの肉や魚にはω3(オメガスリー)系という油であり、エイコサペンタエン酸(EPA)を多く含みます。
アラキドン酸(AA)は免疫力の増強に寄与するなどの利点も存在しますが、その一方で炎症の効果の増悪という負の側面も持っています。
それに対してEPAは炎症の抑制効果を持つとされています。
このEPAとアラキドン酸(AA)のバランスを客観的に見るものが、EPA/AA比です。
ちなみにEPA/AA比は、デンマーク本国では0.25程度、イヌイットは8.0程度と大きな差があります。イングランドやUSA(アメリカ合衆国)のEPA/AAは0.1強、南イタリアは0.3程度、日本は0.5~0.6程度と言われています。

我が国の複数の大規模研究でも、EPA/AA比が0.4未満となると、心筋梗塞を始めとした動脈硬化性疾患が大幅に増加するという結果が出ています。
EPA/AA比については、その時点での食生活を直接反映する明確な指標であるため、食生活を改善する事で容易に数値の改善が期待できますし、健康状態を改善する為の食事指導の指標として大いに活躍してくれることが期待されます。
そしてEPA/AA比の数値の改善は、今後の生活において疾患の予防に大きく寄与するのです。

心筋梗塞の発生のメカニズム

上記で示した通り、AA(アラキドン酸)などのω-6系不飽和脂肪酸は、免疫力を高めるなどの良い効果も多く持つ、生体にとって非常に有用な物質ですが、細胞膜に作用して炎症を促進するという一面を持っています。
それに対して、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのω-3系不飽和脂肪酸は、細胞膜上でAA(アラキドン酸)に拮抗して炎症を抑制する効果を持っています。
近年の研究では動脈硬化性疾患とくに心筋梗塞のリスクと、微細な炎症反応のマーカーである高感度CRPの間に相関関係がある事が判りました。
つまり、動脈硬化の進行=心筋梗塞の発生のメカニズムには、動脈壁の細胞の炎症が関与している事が判ったのです。
そのため、ω-6系を相対的に多く摂取する人は、ω-3系を相対的に多く摂取する人に較べて心筋梗塞などの動脈硬化性疾患になりやすいのです。

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