血清アミラーゼ(血液)
基準値
基準値 | 40~122U/L |
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この検査で疑われる病気
- 高値:急性・慢性膵炎、腎不全、睡液腺の疾患、膵臓がん
- 低値:進行した慢性膵炎 等
膵臓や睡液腺から分泌される糖類を分解する消化酵素です。おもに膵臓に異常があると値が上昇しますが、飲酒や肥満、睡液腺の炎症などでも値が変動します。
膵がんで最もよく見られる検査値の異常として、膵臓がんが胆汁の流れを悪くする(閉塞性黄疸)ことによって起こる「肝機能異常」および「胆道系酵素の異常」と、膵臓がんが炎症を引き起こすために起こる血中「アミラーゼ値の上昇」がありますが、膵がんで必ずしも、アミラーゼが上昇するわけではありません。
また、「糖尿病の発症」や糖尿病患者さんにおける「血糖コントロールの悪化」は、膵臓がんを示唆する所見であり、注意が必要です。膵がんは50~70歳、特に高齢の男性に多いがんです。
膵臓には強力な消化酵素(アミラーゼ、トリプシン、リパーゼなど)を分泌する外分泌腺と、ホルモン(インスリンなど)を分泌する内分泌腺があります。がんはこれらの膵臓細胞から発生する可能性があります。
血清アミラーゼ高値の主な原因
急性膵炎 :血清アミラーゼが著しく上昇します。 膵臓に炎症が生じることで、アミラーゼが血中に漏れ出るためです。
慢性膵炎 :一時的に高値になることがあります(ただし、進行すると膵機能低下で低値に転じることも)。
唾液腺疾患 :流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)や唾液腺炎で高値となる場合があります。
消化管疾患 :十二指腸潰瘍や腸閉塞など、消化管の異常でも血清アミラーゼが上昇することがあります。
腫瘍性疾患 :膵臓や唾液腺の腫瘍がアミラーゼ高値を引き起こす場合があります。
腎不全 :腎機能の低下によりアミラーゼの排泄が減少し、血中濃度が上昇することがあります。
薬剤の影響 :一部の薬剤(例: 利尿薬、ステロイド)も高値を引き起こす可能性があります。
血清アミラーゼ低値の主な原因
膵機能低下(慢性膵炎の進行) :膵臓の細胞が破壊され、アミラーゼの産生が減少します。
膵腺腫瘍や膵臓切除 :膵臓の一部または全体が機能しなくなることで低値になることがあります。
遺伝性疾患 :まれに、アミラーゼ欠損症などの遺伝性疾患が低値の原因となることがあります。
膵臓の役割とアミラーゼ
膵臓の主な機能
- 膵臓は消化酵素を分泌する「外分泌機能」と、血糖値を調整するホルモン(インスリンやグルカゴン)を分泌する「内分泌機能」を持っています。
- アミラーゼは、膵臓の外分泌機能によって産生される消化酵素の一つで、主に炭水化物を分解して糖(マルトース)に変える役割を果たします。
血清アミラーゼの由来
- アミラーゼは膵臓と唾液腺で作られますが、血清アミラーゼの約40~50%は膵臓由来(膵型アミラーゼ)で、残りは唾液腺由来(唾液型アミラーゼ)です。
- 膵臓の健康状態が悪化すると、膵臓由来のアミラーゼが血中に漏れ出すため、血清アミラーゼの値が変化します。
血清アミラーゼ異常時の対応
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医師による評価
- 血清アミラーゼ値が高値または低値だった場合、その異常が一時的なものか、病的な原因によるものかを判断するために医師の診察を受けます。
- 問診により、症状(腹痛、吐き気、発熱など)や生活習慣(飲酒、ストレス、食事内容)を確認します。
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追加検査の実施
- 膵リパーゼの測定(膵臓疾患に特異的で、血清アミラーゼより信頼性が高い)。
- 腹部超音波検査やCTスキャン、MRIで膵臓の形態異常を確認。
- 血液検査(腎機能、肝機能、炎症マーカーなど)。
- 尿中アミラーゼの測定(腎排泄機能や一部疾患の評価)。
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原因疾患の特定
- 血清アミラーゼ異常の背景にある疾患(急性膵炎、慢性膵炎、唾液腺疾患、腫瘍など)を特定します。
血清アミラーゼで異常値が出た場合は医療機関を受診してください。
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