マンモグラフィについて
乳房を片方ずつ押し挟むように平らにして、上下と左右の2方向からエックス線撮影をします。視触診などでは発見できないしこりを見つけることができます。
判定のしかた
乳がんの疑いをカテゴリーであらわします。
- 異常なし
- 良性と判断できる
- 良性の可能性も高いが、悪性の可能性も否定できない
- 悪性の疑い
- ほぼ乳がんと考えてよい病変あり
乳房の構成(乳腺密度)
乳腺は30~40歳代をピークに発達し、閉経に伴い退縮して脂肪に置き換わっていきます。この乳腺と脂肪の割合について、以下のように分類されます。
- 脂肪性乳腺:ほぼ完全に乳腺が脂肪に置き換わっている状態
- 乳腺散在:乳腺が脂肪に置き換わった乳房内に、乳腺実質が散在している状態。
- 不均一高濃度:乳腺実質内に脂肪が混在し、不均一な濃度を呈している状態。
- 高濃度乳腺:乳腺実質内に脂肪の混在はほとんどない状態。
不均一高濃度や高濃度乳腺の人は、乳腺が多く残っているため、マンモグラフィで撮影した画像全体が白くなり、本来白く映るはずの病変があっても、乳腺にかくれて見えない可能性もあります。心配がある場合は、超音波検査が勧められます。
メリット
- 非浸潤がんのサインとされる石灰化を見つけやすい
- 乳房全体を1枚のフィルムで観察できる
- 検査技術や施設などの水準を一定に保つ管理制度がある
デメリット
- 乳腺密度の濃い乳房では異常が映りにくい
- 微量の線量だが被ばくなど体への負担がある
検査の内容
マンモグラフィーとは、乳腺専用のレントゲン検査のことです。2枚の板で乳房を挟んで、平べったくして撮影します。こうすることで、しこりとその周囲にある正常乳腺の差が際立つためです。
また、放射線の量を少なくして、被曝を抑える目的もあります。上下・左右から圧迫して、それぞれ撮影します。
乳房全体を1枚のフィルムでみることができます。
しこりがある場合は白く映し出されます。周囲の組織を引き込むような、ギザギザの形をしているのががんの特徴で、これをスピキュラといいます。
しこりを見つけるだけなら、マンモグラフィーほどの精度はないにしても、触診や超音波でも可能ですが、マンモグラフィーが、触れることのできない大きさのしこりを見つけられるのは、石灰化を見つけることができるからです。
石灰化とは…
がん細胞が激しく増殖し、乳管の内腔に密集してくると(乳がんの定義 その6 乳がんの内訳)、中心部分のがん細胞まで栄養が届けられなくなります。がん細胞のうち栄養がもらえない部分は壊死します。
壊死したがん細胞の死骸にカルシウムが沈着することを石灰化といいます。ただし、見つかった石灰化がすべて乳がんというわけではありません。
乳管からの分泌物が結晶化し、そこにカルシウムが沈着するのも石灰化です。発見された石灰化のうち、乳がんによるものは約2割といわれます。
良性腫瘍の線維腺腫でも石灰化が見られることがあります。
ただ、乳がんの石灰化には特徴があり、線維腺腫の石灰化が粗大な場合が多いのに対し、針のように細い線状や細かく枝分かれしているような微細な石灰化、あるいは多様性といって大小さまざまな形をしているのが、乳がんの石灰化です。
乳がんの微細な石灰化は、がんが乳管内にとどまっている非浸潤がんの可能性が高いといえます。
この検査で疑われる病気
- 乳がん
- 乳腺症 等
マンモグラフィ所見(このほかの所見)
石灰化陰影
乳房内に石灰化している箇所があります。石灰化の大きさや形状によって明らかな良性と鑑別を必要とするものに分けられます。鑑別が必要な場合は、超音波検査やMRI検査が勧められます。
非対称性乳房組織
反対側の乳房組織と比較すると、乳房組織の大きさが異なっていたり、濃度が高くなっていたりする状態です。大きさや濃度によっては、精密検査を必要とします。
局所的非対称性陰影
左右の乳房のマンモグラフィを比較して、非対称性の陰影が見られるものです。陰影の形状によっては、精密検査が必要になります。
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