新型コロナウィルスの検査
感染症の診断は、一般的に急性期(症状が現れている時期)にウイルス検出、回復期には抗体検査が実施されます。ウイルス検出にはウイルス分離培養、抗原検出(イムノクロマト法)や遺伝子検出法(PCR)等を用いられます。
現在、新型コロナウイルスのPCR検査は保健所や新型コロナウィルス対応病院を窓口に実施されています。
PCR検査は新型コロナウィルスの現感染を調べる検査
抗体検査は新型コロナウィルスに感染したかどうかを調べる検査
新型コロナウイルス研究の歴史は浅く、風疹等のウイルス感染症と同様の免疫応答が見られるか詳細はまだ不明ですが、感染からの日数とウイルス及び抗体の陽性率の推移まとめた報告があります
Nandini Sethuraman ら、JAMA.2020.8259, 忽那賢志訳https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200509-00177709/
発熱や咳症状があり自宅療養後、完治はしたけど、新型コロナウィルスに感染していたのか気になる、心配という声を多くいただきます。
そのような方々には抗体検査で確認する方法があります。
今まではあまり感度が高くない簡易検査(迅速キット)しかありませんでしたが、新型コロナウィルス抗体検査が高精度で検査できるようになりました。
当院は【高精度の抗体検査】を採用しております。
抗体検査はこんな方におすすめしています。
・これまで特に自覚症状がなく、ずっと健康ではあったものの、過去に新型コロナウイルス感染症にかかっていたか心配な方
・少し前に風邪の症状があり健康状態には戻ったものの、それが新型コロナウイルス感染症だったか心配な方
・出勤するまたは登園登校するのに際し、自らが免疫を持っている状態か予め確認しておきたい方
ご希望の方はお電話(03-3910-3438)にてご連絡ください。
新型コロナウイルスの抗体検査(迅速キットと高精度検査)
いままで抗体検査に使用されていたのは、イムノクロマト法を用いた新型コロナウイルス抗体検査は、ヒト血清、血漿中に出現した新型コロナウイルスに対するIgM抗体とIgG抗体を調べ、これまでに新型コロナウイルスへの感染があったかどうかを補助的に判断するための簡易キットです。
しかし、キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、正確な診断をするための検査にはなりませんでした。
一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1-2週間(感染初期)、IgG抗体は2-3週以降(回復期)に出現します。イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています(国立感染症研究所ホームページ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9520-covid19-16.html)。
この度、6/19から新型コロナウィルス抗体検査を高精度で検査できるようになったため、当院でも採用する運びとなりました。当院ではMBL社の新型コロナの抗体検査iFlash-SARS-CoV-2( IgM、IgG)を採用しております。https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/pickup/iFlash-SARS-CoV-2_IgM.html
iFlash-SARS-CoV-2 IgM: 感度86.1%、特異度99.2%で検出します。
iFlash-SARS-CoV-2 IgG: 感度97.3%、特異度96.3%で検出します。
通常感染後早期にIgM抗体、その後遅れてIgG抗体が出現し、その後IgMはなくなっていくのに対し、
IgGは長期間維持されて病原体に対する免疫機能(感染防御など)を担います。
MBL ライフサイエンスより
https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/antibody-isotype.html
新型コロナウイルスの抗体検査の検査結果について
陽性の場合、これまでに新型コロナウイルスに感染していた可能性を示します。しかし、新型コロナウイルスの免疫応答の研究歴史は浅く、抗体が感染を防御する(感染を防ぐ)抗体であるかどうかまだ不明です。したがって、抗体検査陽性であっても「二度と新型コロナウイルスにかからない」という保証にはまだ至っていません。当院では検査結果のご説明を行っております。
新型コロナウィルス抗体検査は検査を受ける時期などによっても解釈が難しい場合がありますので、ぜひ検査結果をしっかりと確認し、今後の生活にお役立てください。